小学4年生の子がサッカーで膝の靭帯が切れて装具に入って帰って来たから、オンライン治療で診てほしいと依頼がありました。ヨクナルTVに出演依頼はできませんでしたから、録画してないので、会員の皆さんにだけ、ここでご紹介。
医師の話によると、右ひざの前十字靭帯の3本のうち一本が切れてるから、3か月は安静にして運動してはいけないと言われたとのこと。
秋の運動会を楽しみにしてたのに、親子共々ガックリ。
続きを読む: 膝靭帯断裂の小学生
本当に切れてたらどうしようもありません。しかもオンラインだから触れないし。動きを見て確認するしかできません。
触れるのであれば靭帯断裂はすぐに分かります。(ヨクナルTV Vol.26-27参照)
「そんなに腫れてはないね。動きを見せてね。どれくらいしゃがめるかな?」
恐る恐るゆっくりとしゃがみますがお尻は膝より下に行きません。痛いのが怖いみたい。
「じゃ、まっすぐ立って、腰に手を当てて、爪先を床につけたまま足首をグルグル回してみて。
グルグルグルグルグル・・・。
「痛くはなさそうね?」
「うん、痛くない。」
「グラグラもしてないね。じゃ、歩いてごらん。普通に。痛いかもだけど、勇気を出して、足を引きずらないで。」
恐る恐る、歩き出す。左足を前に出すときに右足に体重がかかるから、それを避けてピョンと左足だけ小さくジャンプします。
しかし私は見逃しません。体重がかかる瞬間の膝の角度を。本当に切れて痛いなら、その前から体重を逃がします。
「もうちょっと普通に歩けるかな?勇気を出して。」
ピョン!
「怖いか。じゃ、仕方ない。机に手をついて、右足だけで立ってごらん。」
「これは痛くない。」
「じゃ、そのまま小さく膝を1㎝くらい曲げ伸ばししてごらん。」
「痛くない。」
「お!痛くないか!そうかそうか。体重かけてそれができるなら、歩く時も痛くないから、頑張って歩いてごらん。」
「(恐る恐る)スタッ、スタスタスタ・・・。痛くない。」
「OK!じゃ、次は椅子に座って、両手で足首持って膝を曲げてご覧。ゆっくり曲げてね。これは痛いかもしれんから。」
ゆっくりと曲げる・・・。どこまで曲がるか?
「あ、そこまで完全に曲がるんだね。じゃ、膝のお皿の下を両手でつかんで前後に押してごらんどれくらい動くかな?」
断裂してれば、ものすごくせり出てきます。切れてなければ出てこない。
「そこで止まるか。左と比べてごらん。・・・・・・・・うん、同じくらいだね?」
どうやら、断裂してはないようです。
「お母さん。断裂はしてないみたいですね。痛いのは捻挫で筋肉がカチカチになってるのと、皮膚が癒着したからだと思うから、しばらくしたら治ると思いますよ。」
「良かった!でも、一本切れてると言われたんですけど。大丈夫ですか?」
「そのうち繋がりますよ。ただ、痛いことをしたらダメ。痛くない行動は全然大丈夫ですよ。あと何日かしたら忘れて飛び回りますよ。」
「そうなんですか。サッカーはさせていいんでしょうか?」
「ボール軽く蹴ってみて、痛くなければ、1週間くらいに分けて毎日少しずつ強く蹴るようにしてれば、10日もすれば大丈夫と思いますよ。」
「この装具は、はずしていいでしょうか?」
「怖ければ付けたままで良いですよ。いらない日が来たら自分で分かるので。」
「今の痛みはどうすればいいでしょうか?」
「あ、それはね、膝の下に皮膚を掴んで引っ張ってみて。痛みを我慢して引っ張ってれば、皮膚が伸びてきたら痛み激減するから。はい、やってみて。」
「イタ~~~~~~~~~~!!・・・・・・・あれ?痛くなくなった!」
「ね?動かしてごらん。」
「痛くない・・・・。でも、中の方が・・・。」
「中は靭帯かもしれんね。でも、お母さん、ちょっと膝裏の筋肉を右と左比べてみて。右ひざの裏にゴリゴリができてない?」
「あ!右がカチカチです!」
「それを揉んであげて。」
「イタ~~~~~~!!!」
「次は、下から押し上げて足首グルグル回させて。」
グルグルグルグルグルグルグル・・・・。
「はい。、もう一度ゴリゴリチェック。」
「あ、柔らかくなりました!痛くない?」
「うん、痛くない!」
「OK!はいボクは、立って歩いてごらん。」
スタスタスタスタ・・・・
「痛くな~い。」
「はい次は、屈伸。ゆっくりでいいからね。」
「先生、できてます!曲がります!痛くないの?」
「痛くない。」
「はいはい、良かったね。多分1週間もすれば忘れて走り回りますよ。」
「良かったですぅ~。ありがとうございました。運動会も出て良いですか?」
「本人が分かりますよ。全然大丈夫でしょ。」
「本当に靭帯断裂してるんですか?」
「さぁ~、その病院がキチンと診断されたんでしょうから、わかりませんが。大人しくしとけば繋がるから、そう言われたんでしょうね。本当に全断裂してれば、ああいった動きはできませんからね。」
一カ月経って、また連絡が。
「先生、その節はお世話になりました!おかげさまで本当に一週間もしないうちから走り回って、サッカーもすぐにできるようになりました。
運動会も出れます!本当にありがとうございました。」
こういうことはよくあること。
この子も、このくらいで済んでよかった。
スポーツにケガは付き物。ケガしない体作りと、ケガをしてもすぐに治る細胞作りをしましょう。
あと我々は、動きを見て、どのくらいの故障レベルかを見抜く力は付けときたいものです。
これは経験則で身につけるしかないかもしれませんが、会員の皆様には、こういう情報を知っておくだけで、プラスになるので、経験値が向上していきますね。
「病院の機械で切れてるように見える靭帯断裂も、動きを見ればそうでないことが分かることもある。」と言う例でした。