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ヤ〇ザ親分患者さんに彼女を紹介すると言われた事件を思い出した。

時々、昔の患者さんを思い出します。

覚えてるのはもちろん印象深かった人々ですが。

その中のコワ~い人のお話。

弟子時代、腰痛で通院して来られてた、背中に何らかの青と赤の絵が描かれてたアチラ系の親分さんがいました。

左目は半分まぶたが垂れ下がってて、若い時にケンカで敵にカミソリで切られたからとか・・・・。怖いでしょ~?

この人が、名前が分からない人でね。

アチラ系の人は素性が明らかになるを嫌なんでしょうかね。

腰痛で初来院されたときに書かれたカルテの名前は久保田なのに、久保田さんと呼ぶと、「誰が久保田じゃ?俺は北島タイ!」と怒られる。

また別の日、「北島さん」と呼ぶと、「俺は久保田やろうが!ちゃんと書いてあろうもん!」と怒られる始末。

「どっちが本名ですか?」と聞くと「俺の名前とか、お前に関係なかろうもん!」と怒られる。

いやいや関係あるって。待合室から呼ぶときに何と呼べばいいのさ?

この人からは、自慢話と武勇伝を色々聞かされた。

「こないだな、運転マナーが悪い奴の車を止めて、説教してやったっタイ・・・・。」とは聞こえが良いが、その内容が悪魔。

自分を正義の味方のように言うけど、実は、追い抜かれ方にカチンと来て、煽りまくって、強引に前に出て急ブレーキ踏んで、追突ギリギリで急停止させて、相手が青くなって震えてるところにツカツカと歩いて行って、「コルァァァァ!!テメェ!!!!」と怒鳴りつけて、相手に無理やり謝らせて喜ぶという・・・。

マナーの悪さ度は久保田北島さん、あなたの方がはるかに上なのだが・・・。

悪い奴を懲らしめて社会のお役に立ってるという正義感が怖いワ。

挙句の果てに、相手が追いかけてきたり、すぐに警察に行けないように、相手の車のキーを抜いて、川にポ~イと投げ捨てたりしたという。

悪魔は、久保田北島さん、あなたです!

こんな悪行三昧を楽しそうに武勇伝として話してくれてましたねぇ。怖いでしょ?関わりたくない人の代表。

ヤクザ同士のトラブルがあると俺が仲裁役してやってるとかね。

「兄ちゃん、ドスで腹刺されたらなぁ、すぐに抜いたらいかんぞ。抜いたら5分で腸が腐り始めるし、大出血して死ぬケン、刺さったまんま救急車で病院行くとぞ。」

いやいやいやいや、刺されるようなことはあり得ないし。

「兄ちゃんはヤクザは好かんとか?」

「あ~大嫌いですねぇ。」

「ヤクザがおらんと街が荒れるとぞ。お前は知らんやろうけど。裏でヨか事たくさんしよるとぞ。街を守っとるんは俺たちなんぞ?」

裏で良い事・・・・。悪いこともたくさんされてると思いますが・・・・。正義感は強いのよね。歪んでるけど。

「けど、俺を前にしてヤクザ好かんとか、よぉ言うた!お前男気あるな。普通の奴は言いきらんぞ。気に入った!よし、今度飲みに連れて行っちゃる。いつが休みか?」

それを横で聞いてた師匠の顔が・・・・見る見るうちに青くなって歪んできた。首を横に振って嫌々してある。 「絶対飲みに連れてってもらったりしたらいけない!」と目で言われてる。

察した私は、断る絶好のアイデアトークがひらめいた。

「肝臓と腰が悪い人は酒飲んではダメですよ。治るまで酒はダメです。」

「おぉ、そっか、そやな。俺の腰はいつ治るとや? 全然治らんバッテン、もう何回通院しとるか、わからんぞ。」

「だって、肝臓ガンですからねぇ。ガンが治れば腰痛も治るでしょうが、まずはガンを治してこないと。カイロプラクティックじゃガンは治らないですから。」

「おぉ、そやな。ガンは痛かとぞぉ。治療もたまらんとぞ。兄ちゃんは分からんやろうが。」

この方、親分肌なので、面倒見がよすぎて、はた迷惑したのが、

「兄ちゃん、オンナはおるとか?」

「彼女ですか?はぁ、まぁ、別に、修行中の身ですので。」

「よし、俺が紹介しちゃるけん、今度会って来い!」

いやいやいやいやいや!!!!アチラ系の女性なんか関わりたくないですが!

「俺が入院しとった病院の看護婦やけ、まともな女たい!今度お前に会うごと話してくるケンの!その女も男欲しがりよったケンの。丁度よかったタイ。」

いやいやいやいや、思い込み強すぎだって!普通の女性なら、絶対アンタに男欲しいとか言わんし!

絶対、彼氏がおるかと聞いて、おらんと言われたから、俺が世話しちゃるって思い込んでるだけのハズ。

その場限りの思い付きで明日には忘れてくださってると嬉しい。

しかし・・・・翌日もキッチリ覚えていた!

翌日、治療院に電話・・・来た!

「おう!久保田じゃけど、兄ちゃん、女に会う手はずを整えたケンの。向こうの女も乗り気じゃけ、上手いことせなつまらんぞ!今度会う場所と時間を教えるけん。」

今日は久保田と言ったな。北島はいつ使う?

「は、はぁ・・・。」

困った困った。どうしよう。場所と時間まで久保田北島親分が決めてくるという強引さ。

「せ、先生、どうしましょう?」師匠も困ってた。「まあ、会うだけ会っとかないと、後がややこしい人だからな。でも深入りしないようにね。」「わ、わかりました・・・・。」

「おう!女にあう場所はな、天神にマクなんとかいうハンバーガー屋があろうが、あそこに今度の日曜に11時な。」

「マクドナルドですか?」

「おう、若い奴はあげなとこが良かろうが?」

あのね久保田北島親分。普通はね、初対面の女性との待ち合わせにマクドナルドは使わないのよ。

「まさか一緒に来るんですか?」

「何ば言いよるとや?俺は行かんでよかろうもん?俺は忙しかとぞ?そこまで世話焼かせんなや。」

いやいやいやいやいや、世話焼きたいのはアナタですがな。うちらはその強引さに困り果ててる一般人ですがな。

しかし、ついては来ないと聞いて、よかった。ホッとした。

「あぁ~初めまして、久保田北島親分からの紹介で参りました。寺川ですが。」

会ってみると、これがまともな女性で良かった。

「困りましたね久保田北島親分には。名前は久保田?北島?どっちなんですかね?」

「あ、それ、私も分からなくって。あははは。」

久保田北島親分のメンツのために、少しだけ世間話と親分の悪口言って盛り上がって、お互い席を立つ。

よし、会うだけは会ったから、これで、面目たつやろ。

しばらくして久保田北島親分ご来院・・・・。しかも相手の女性に確認して来たと言うじゃない。

「おう!エライ楽しかったらしいやないか!さすが兄ちゃん!女の喜ばせ方、わかっとるのぉ。あの女もお前のことを偉く気に入ったらしいぞ!次はどこに行きたいや?」

ぎゃぁ~~~話が終わるどころか進められてきてる!!!

これヤバい奴!こっちはもう話し終わってるんですが!

また会う日を決められた・・・・。

「ま、またお会いしましたね。」

「はあ・・・。」

「久保田北島親分にも困りましたね。私はあなたが嫌いとかそういうわけではないですけど、あの方が絡んでると後後すご~~~くメンドイ事が起こる気がするんですが。」

「私もです。」

「では、残念ですが。気が合わなかったと言うことで、これで…。」

「はい。」

後日、「なんや?兄ちゃん?付き合うごとせんやったって?なんでや?ヨか女やったろうが!あげんな女はナカナカおらんぞ?」

いやいやいやいや、アンタが原因。

「そうかぁ。兄ちゃんはあの手の女は好かんか。キャバ嬢がヨかとか?それならいっぱおるけんの、今度飲みに連れて・・・・。」

もう、勘弁してくれ~~

ちゃんちゃん♪

結局、久保田北島親分さんの本名は最後まで分からずじまい。

えらく気に入られたもので困りました。

あの女性も今頃は孫がいるかも。どうしてあるのかな?

クセツヨ患者さん、まだまだたくさんいらっしゃいます。

時々思い出します。思い出したらまた書きますね~♪

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